(029)米国債について、その③〜諸々データの見方〜
初めに
じっちゃま曰く、《くやしいけど株の市場参加者より債券の市場参加者のほうがずっと洗練されているし普通正しいです。そういうものなんです悪いけど。》株式市場参加者より洗練された債券市場参加者の動きを知るために必要な項目を整理してみました。
イールドカーブとは
(図=トレイジャリーイールドカーブ)
イールドカーブとは残存期間が異なる複数の債券などにおける利回りの変化をグラフにしたもので、一般的に横軸に残存期間、縦軸に債券などの利回りをとります。複数年にわたるデータを三次元的に示したものもあります。
イールドカーブは右上がりの曲線になり、この状態を順イールド逆に短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブが右下がりの曲線となっている状態を逆イールドといいます。
※Treasuryとは米国財務省証券つまり米国債を意味します。
イールドカーブ変化の型とセクターローテーション
順イールドカーブは経済が成長する景気拡大時に見られるのが一般的です。この場合、投資家はインフレと将来の金利の上昇の見返りとして、長期債券には高い利回りを要求します。
フラットなイールドカーブは、景気が拡大から後退に向かう時期(反対に景気拡大時期)にみられます。例えば急激な経済成長を抑えるため、中央銀行が金利を引き上げるとこの様なイールドカーブになります。この場合金利引き上げに応じて短期金利が上昇しインフレ期待が収まっていくため長期金利は低下します。
逆イールドカーブとなる場合、長期債の利回りが短期債よりも低くなり、イールドカーブが右肩下がりとなっている事を意味します。この形は金利とインフレ率がどちらも下降している景気後退時に見られるのが一般的です。過去の例では景気後退が始まる1〜1.5年前にイールドカーブが反転しています。
詳細に分けると下記の様になります。
①ブル•フラットニング
停滞初期。短期金利の低下と相対的に大きな長期金利の低下が見られる状況。景気先行きは強くない。
②ブル•スティープニング
景気後退とそれに伴う金融緩和が始まった状況。短期金利は低下。短期長期の金利差が大きくなる。
③ベア•スティープニング
景気回復期。長期金利が上がり始める。将来の金融引き締め感が出始める。
④ベア•フラットニング
景気加熱感があり金融引き締め。長期短期金利ともに上昇。
↓↓金利と株価の関係↓↓
[013]景気•金利とセクターローテーション|Masa|note
ドットプロットとは
(図=ドットプロット例、Bloomberg引用)
じっちゃま曰く、《経済予想サマリー(SEP=俗称ドット・プロット)が今年最初に示される。これは、FRB全員にFOMC前にアンケートを配って、『今年のGDP、政策金利、インフレ率はどうなる?』といった内容のアンケートをとるサマリー》
米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に公表される政策金利見通し、委員会メンバーのこれからの金利の予測です。委員会メンバーの金利見通しですので今後の市場への影響を示唆している事は言うまでもありません。
債券と株式の関係
またじっちゃま曰く、《自分よか正しい連中がいる……それなら、それでいいじゃないですか? そいつのトレードを真似しまくればいいだけ(笑)「債券の投資家のほうが巧いんだから、株やっている我々は債券の方みてトレードしろよ!」…というだけの話。》
債券価格と株価は負の相関関係、シーソーの関係です。一般的に債券価格が上昇すると株価は下落し債券価格が下落すると株価は上昇します。洗練された債券市場参加者の動向を見る事で株式市場の方向性をとらえらるため要マーク必要です。
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最後に
債券について色々とまとめてみました。株式投資を行うにしても、幅広い知識を身につけて総合的な判断に基づき投資していきたいと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございます☆
(028)米国債について、その②〜デフォルトとは〜
初めに
じっちゃま曰く、《10月18日が米国デフォルトのXデー。》デフォルトて何?という事で、勉強してみました。
デフォルトとは
国が借金の利子や元本の一部又は全部を返済できない状態をデフォルトといいます。全ての国は、税収だけでは財政支出を補えないため、その一部を賄うために国債を発行して借金をしています。その金利の支払いができなかったり、満期時の償還金の支払いができなければデフォルトになります。
↓↓国債収支について↓↓
[009]経済のお勉強〜其の五〜国際収支|Masa|note
借金は返せないのか
返せないことはありません。一般企業なら資産を売却するなど必要になりますが、国家は自身で通貨を発行できます。通貨を発行してしまえば自国通貨建の借金は返済可能です。特に米国の場合基軸通貨のドル=自国通貨ですので刷れば借金は返せます。この点が社債等と大きく異なる点です。
ただし通貨を単に借金を返せないという理由だけで発行すると、他通貨と相対的に価値が目減りするためインフレに陥る事は想像に難くありません。また国債の格付けも下がるため経済はガタガタになる事は間違いありません。
過去のデフォルトの例
(図=アルゼンチンペソ為替推移)
1962年までアルゼンチンは1人当たりのGDPがかつての宗主国スペインやオーストラリア、イタリア、日本よりも高く比較的経済的に裕福なかなでした。しかし政策の行き詰まりもあり、2001年に債務不履行に陥りました。上図はアルゼンチンペソの為替推移です。過去は政策上の固定レートの時もありましたが、2001年のデフォルト以降のペソは酷い状態です。今経済大国としてアルゼンチンを認識している人は皆無でしょう。
政府のお金が無いわけですから、公務員の給与は払われず、公共機関は機能せず国としてガタガタになる事は言うまでもありません。かつてアルゼンチンに旅行に行った時、皆南米特有の雰囲気で明るく過ごしていましたが、やはり治安は悪そうだなという雰囲気でした。
今何が起きているか('21/10現在話題の債務上限問題)
米国債の発行は合衆国憲法(第1条第8項)に基づき連邦議会が定めた第二自由公債法により発行されます。この中では国債残高に制限額を課しその範囲内であれば自由に国債を発行し資金調達できるという事になっています。逆を言えば上限が切られているという事です。
米国での国債は、都度国庫の資金繰り上の必要性から発行されています。参考までですが、日本は単年度の予算における歳入・歳出の差額を埋めるという単年度主義に基づき発行されています。
'21/10現在で、米国の債務不履行懸念があり、金融市場はこの成行を注視しています。それは上記の国債残高制限額が要因です。債券は議会が定めた法律に基づき発行されますがこれには上限があるため、連邦債務残高が上限を超過した場合には限度額を引き上げない限り新規の発行はできません。特例措置として2019年7月からは債務法定上限を2年間だけ除外されるよう特例が設けられました。その2年間の適用停止が2021年7月末に期限を迎え8月1日から法定上限が復活しています。米財務省は緊急措置を発動し地方政府向け特別国債の発行を停止したり手元資金をやり繰りしているなど対応を行っているようです。
議会上院で与党(民主党)主導で上限を再度一時的に外すための法案審議が行われていましたが野党(共和党)の反対で可決されず資金繰りに窮しています。
(図=S&P500株価、28日から下落)
イエレン財務長官は28日に連邦政府の債務上限問題への対応が遅れると10月18日以降に資金が尽きると発言しました。これは国債の償還や利払いが滞るデフォルトに陥る可能性がある事を示唆します。そのため市場に影響を与え株価は低下しました。引き続き注視していく必要ありです。
最後に
今回は直近で話題となっているデフォルトについて勉強してみました。これだけではなく、中国含めリスクが顕在化している状況ではあるのでキャッシュポジション高め暴落に備えたいと思います。(投資は自己の判断で!)
最後まで読んでいただいてありがとうございます☆
(027)米国債について、その①
初めに
じっちゃま曰く、《ひとつの資産が大きな動きをすれば、全体としてリスク調整する必要が出ます。株式がぐわんぐわんに動いたら…それが債券のストラテジーにも影響するし債券がぐわんぐわんに動いたら…それは株式のストラテジーに影響します》
株式投資に於いて債券を理解する事は必須です。今回は債券について勉強してみました。
市場規模
じっちゃま曰く、《株式市場のスケールより債券市場のスケールのほうが大きいんです。主は債券、従は株式。その主従関係をまちがえないで!》
という事で、実は債券市場の方が地味ですが文字通り桁違いに大きい様です。
◼️世界の株式市場規模 : 6200兆円
◼️世界の債券市場規模 : 1京447兆円
ちなみに、ニューヨーク市場は25兆ドル、ナスダックで20兆ドル、米国債で20兆ドルの規模だそうです。
米国債とは
米国債とは米国財務省が発行する米国政府の債務証券(公債)です。基軸通貨である米ドルを有する米国の債券市場は世界で最も重要な債券市場の一つです。
米国債は償還までの期間によって主に次の3種類に分けられます。
①T-BILL(Treasury Bill) : 財務省短期証券。 期間が1年未満の割引債。
②T-NOTE(Treasury Note) : 財務省中期証券。
③T-BOND(Treasury Bond): 期間が10年を超える利付債。
国債の仕組み
国債を購入する投資家は、国債を満期までの間保有することで得られる利子(クーポン)を得ます。貸したお金である元本は、国債が満期になった時に償還されます。国債が満期を迎え、償還される期日を満期日と言います。満期日は国債により異なり、1年未満から30年以上の満期まで多種多様です。
◼️例
•満期: 10年
•表面利率※: 5%
•額面金額: 100万円
※表面利率=クーポンレート。額面金額に対して受け取れる年間の利率
この場合100万円の5%で(5万円)の利子を10年間つまり合格50万円受け取ることができ、10年目の満期を迎えた段階元本の100万円が償還されます。
国債と金利
あらゆる金融商品と同じ様に、国債も需要と供給で価格が決まります。国債の供給者は政府、需要者は投資家です。この需給バランスを決定付ける大きな要因として《金利》は重要な役割を果たします。
元本も基本的には保証されているため、低リスクの国債は投資家にとって魅力的な投資商品と映るはずです。
また国債金利は《経済の体温計》とよばれます。景気が良ければ企業は少々金利が高くてもお金を借ります。これが国債にも反映されます。景気が強いとFRBの政策金利(短期金利)も将来の利上げが意識されます。そのため長期の国債金利も影響を受けます。
最後に
今回は国債のさわりについて整理してみました。次は米国債を理解していく上で必要な項目を整理したいと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございます☆
ごあいさつ
これまでNote で《じっちゃま》の投資方法に関して、自分なりの勉強をしてきました。
人に読んでもらえる価値を出せる所までしっかりと勉強し表現する!!
事を意識したいと思います。
よかったら過去のnote 記事も読んでみて下さい。